- el estudio de arquitectura miyahara -
 
House_IM 箱と自在な内の家


「先の事は判らないが、今は収集してきた美しいものに囲まれて生活したい」 施主の求めるギャラリーとしての機能と、様々に移り変わる日常への対応性。私たちはこの2つの機能を高度に、そしてローコストで実現する住宅を創りたいと考えました。

66坪の敷地に対して建物のボリュームは一辺10m、高さ4m程の直方体、これを全周に約1mの跳出しを持つ全面フラットなステージ状のRC造基礎を用いて、地盤から50cm浮かせて配置しています。まるで雲の様に見えるまだらな塗装による外壁は、少しでも自然界に寄り添うよう試みました。
上部には建物全周にわたる高窓を配置しています。エントランスへ向かう浮遊感のあるスロープは、外の日常から施主の日常へのアクセスツールとして捉えました。
内部は中庭を含めて100m2の一空間となっていて、必要な機能は、高さ1.9mの目隠し壁・家具を用いてスペースを構成しています。その為空間はお互いに緩やかに接続され、各スペースも完全に区画されていません。
屋根・天井は全て中庭へ勾配していて、室内から最大限の空(自然)を感じられるよう考えました。また中庭を中心に配置した正方形のプランを採用したり、全周に連続高窓を設けて外界との接続を均一化する事で、人々の定位感を失わせ方角からも解放しようと試みました。
一方、全面フラットなステージ状基礎と木造在来工法による構造は、構造解析により外周と中庭の柱によりのみ成立させているため、大きな一室空間を移り変わる施主の生活のステージ毎に、ギャラリーとして、個室として、子育てに必要なスペースとして、後の介護の為の準備として、無理なく間取り再構成出来るよう考えられています。

こうしてHouse_IMは、永く続く施主だけの日常空間を得る事が出来ました。


※ House_IMは第40回 東京建築賞 優秀賞(戸建住宅部門)を受賞致しました。